iPad一週間レビュー

iPadが到着して一週間が経った。

今のところ、点数をつけるとすれば、70点というところか。

100点満点で、
・3Gが無いのが10点マイナス。
・専用アプリが未揃いなのが10点マイナス。
・重さが10点マイナス。


この一週間で、iPadをよく使った用途別に感想を書いてみる。

■テキスト入力



自分の持ち歩きコンピュータに求めることの第一義は、常にテキスト入力。

重さと入力しやすさのバランスから考えると、iPadはテキスト入力マシンとしては、なかなかいい部類だと思う。

iPadのソフトキーボードは、特に横置き画面は十分な大きさがあるため、iPhoneより格段に打ちやすくなっている。
iPhoneと違い、キーを押した瞬間に入力されるのが、ちょっと違うが、そのおかげもあってあってか、高速に入力ができる。

打面を見なくてはいけないのだが、打面と入力結果が表示されるぐらい画面の距離が近いため、視線移動が少なくそれほど気にならない。

動作速度が、iPhone 3GSよりも速く、日本語モードと英語モードの切り替えもスムーズ。

どこでも気軽に使えるソフトキーボードに加えて、BluetoothやUSBでハードキーボードもつなぐことができるのは、いざというときには便利。ただし、今の所は、日常的にはソフトキーボードで十分。

入力用のアプリは、純正メモを使っている。

iPad用に最適化されたアプリと、iPhone用をそのまま拡大したアプリでは、キーボードをそのものが結構違う。
特にバックスペースの位置が、iPadでは右上にあるので使いやすい。

テキスト入力に特化したアプリで、iPad用に最適化されたものが、まだ少ないので、今の所は、純正メモ。

■ウェブ

iPadのSafariは、やはりiPhoneよりも相当快適。



タップ無しでも十分読めて、スクロールの回数も圧倒的に数ない。
MacのSafariと比べると、マウスを使わず操作がダイレクトなので気持ちがいい。
惜しむらくは、RSSリーダー機能に、複数のRSSをまとめて読む機能と、未読を表示する機能が無いこと。これが無いために、未だRSSを読むときには、Macの方を使ってしまう。

■手描きメモ

iPhoneにもMacでもない、iPadならではの用途が手描きメモ。
内容は、以前に書いた。
ただ、これもまだ決定版のアプリが無いのか、見つかっていない。

今のところ試したのは、SketchPad HD,
Penultimate, PaperDesk for iPad, Sketches 2の4本。

機能的にはPaperDeskが高機能だけど、書き味という点では、ゲルインクを模したPenultimateも捨て難い。

■本やマンガを読む

iPadの発表時に、電子書籍サービスのiBooksも発表になったため、iPadは電子書籍端末と見られがちだけど、実際には、汎用コンピュータ。アプリケーション次第で、どうとでもなる。

かといって、電子書籍端末としても、十分に使えた。

昔に、SONYのリブリエを借りていたことがあったが、リブリエよりも優れているのは、表示の速さ、操作のダイレクトさ、自発光ディスプレイ、カラー表示、後は汎用機であること、など。
逆に劣っているのは、テキスト表示の美しさ、軽さ、か。

iPadは、表示の速い液晶を使っているため、電子インクに比べて表示が高速。速読や、マンガをどんどん見ていくにも適している。
ビジネス書などは、斜め読みが主になってくるので、液晶がいい。

ページをめくるジェスチャでのページ送りは、まだ体験していないが、タップで読み進める方が、圧倒的に速いはず。

自発光であることは、ベッドなど暗い場所でも環境にとらわれずに、本を読む事ができる。

カラーである事は、例えば、ガイドブックのるるぶを取り込んで見たが、一目瞭然。写真とレイアウトを活かしたものは、非常に魅力的に使える。

汎用であることは、専用機をたくさん持ち歩かなくていい。読書の頻度が、非常に多いのでなければ、多機能の方が、持ち歩く物が少なくてよい。

欠点といえば、重量。
単行本を片手で持つ感覚では、本体を保持できない。どこかに置いたり、支持点を置かないといけないのが、ちょっと使いづらさがある。

■ビデオ

iPhoneに比べて大画面、ということで、ビデオ再生機能もたくさんつかうのかな、と思ったが、実際はそうでもない。
というのは、結局、家の中では60インチのテレビがあるわけで、そっちで見てしまう、ということ。
そうでなければ、外出中だが、その場合はiPhoneで見る機会の方が多い。

唯一あるのは、自宅で相方がドラマを見ていて、自分が仕事から帰ってきて、一人で夕食を食べるときに、録画済みの番組などを見る場面。大きな画面で見やすい。

■ゲーム

全般的に、iPadでのゲームはiPhoneよりも快適。
速度も速いし、画面も大きいので画面上に操作ボタンがあるものなどは、押し間違えが少なくなる。
加速度センサーを使ったカーレースゲームでは、iPhoneだと小さすぎて操作が行きすぎてしまっていたが、これもちょうどハンドル感覚になってやりやすい。

IPadならでは、と思ったのが、多人数で楽しめるというところ。
つい昨日、病院の待ち時間をつぶすのに家族でマクドナルドに入ったのだが、暇なので、AirHokeyを立ち上げて、家族で対戦するとなかなか楽しかった。
その後は、上海を家族みんなで解いたのだが、これもなかなか。

■コミュニケーション

メール、Twitter、掲示板、IMのアプリは入れてあるが、3G内蔵ではないため、使う場面が自宅に限定されてしまうのが難点。
いまや、コンピュータやインターネットの大きな用途として、コミュニケーション用途があるので、どこでも通信できなければ、持ち歩けるコンピュータとしては、不十分に感じてしまう。

逆に電波がある環境では、入力も表示も快適で、コミュニケーション端末としても十分、だということ。

■あまり使わないもの

純正アプリの中で、あまり使わないものをあげるとマップ、iPod、写真。
マップは、自宅で長々と地図を見る場面自体がそれほど多くない。
iPodは、画面の大きさがあまり関係無いので、iPhoneで大丈夫。
写真は、過去の写真を少し見る機会はあるけども、四六時中見ているものでもない、というところ。

徐々にiPadの不満点に移っていくが、大きくは3つ。

■3Gがないということ

ネットが当たり前になって10年以上経つが、iPhone、iPadでもそれだけネットを依存/活用したアプリが多い。

コミュニケーションのところでも書いたが、iPadを持ち歩く場合、3G回線の有無は、用途を大きく左右する。

もっとも、これは人による。
もし、職場に無線LAN環境が用意されていて、iPadでもアクセスすることを許されていれば、それほど3Gの必要性は感じない。
職場以外の外出場面では、iPhoneを使うことが想定されるので。
自分の場合は、残念ながらそうではないので、3Gを自前で用意する必要がある。

もっとも、日本でも順調にいけば、5月末に3Gが発売されるので、iPad自体の根本的な問題ではない。
今はWi-Fiモデルを使っているが、これは相方に渡して、自分は3Gモデルに切り替える、というのは、当初からの予定。

まぁ使ってみて、やはり3G必須ということを実感した、ということ。

■専用アプリの不足

iPadは、iPhoneのアプリが使えるため、スタートからアプリが充実している、はずだった。

それは確かにそうなのだが、ちょっと期待外れな面もある。

ゲームなどはほとんど気にならないのだが、一番期待外れだったのは、拡大表示をされたアプリのフォントがギザギザすぎること。
本当に単純に拡大しているだけっぽいので、読みにくいものが多い。

あとは、先にも書いたのだけど、テキスト入力のインターフェースが微妙違うので、iPadに最適化されたアプリとまじると、使いにくくなる。





画面回転の考え方もiPadとiPhoneでは違う。
iPadは、上下左右どの状態でも使えるアプリがほとんど。ドックコネクタを上にすることも可能。
iPhoneは基本縦で、中には横置きに対応しているものもある、といううぐらい。上下反転で使えるアプリは稀。

特に上下反転でアプリを使っていて、iPhoneアプリに切り替えると、本体ごとひっくり返さなくてはいけなくなり、面倒くさい。

もっとも、これは時が経つに連れて、最適化が進んでいくと思われるので、iPadの根本的な欠点ではない。

■重い

簡単に直せないiPadの欠点といえば、重さ。
自分もそうだったし、色々な人に持たせても、まず最初にいうのが、「結構、重いね」

機械によっては、持ち方によって重心の関係で重く感じる、というこもあるが、iPadの場合は、そういうレベルではなく、ガチに重い。

もちろん、純粋な重さは、その辺のノートPCよりも格段に軽いのだけど、手持ちのデバイスとしては、相当重い。
片手でずっと保持しておくことは、ほとんど不可能。

本という感覚ではなく、中身の詰まった鉄板。ガラス製の鍋ぶたとかも近い。

逆に、重さからいえば、iPadはその形状、大きさと裏腹に、手持ちデバイスではなく、卓上デバイス、ということになる。

もちろん、ちょっと大げさに言っている部分はあるのだけど、片手でひょいひょいと使うイメージでは、相当裏切られた気持ちになるので、そこは覚悟しておいた方がいい。

重量の原因は、ガラス、アルミ、バッテリらしいが、もう100gでも軽くはならないものだろうか。

以上が主だった不満点だけど、これから解消可能なものもある。進化が楽しみということ。

■ハードウェア

最後にハードウェアについて。

iPadといえば、液晶がほとんどをしめるが、個人的な使用用途では、まったく問題を感じない。
色、明るさ、視野角、解像度、文句のつけ用も無し。

液晶周りの枠の部分は、写真で見たところ厚いという印象を持っていたが、実際に使ってみるとまったく気にならない。
持つ時に、ちょうど親指の幅になっている。この辺りはさすがにApple。

Wi-Fiは、一部で問題が出ているという話しだが、うちでは全く問題なし。11nなのでアクセスも高速。

ボタン類は、それほど頻繁に使うわけではないが、ちょっと安っぽいか。まぁあまり気にならないが。

デザインもシンプルでいいと思うが、いただけないのが背面の処理。梨地になっていてサラサラしているのだけど、とにかくスベって持ちにくい。
背面が曲面になっているのは、机から持ち上げやすくていいのだけど、重さもあいまって、落としそうになる。
背面のAppleロゴが平滑になっているので、ここに指をかけると、滑り止めにはなる。

しかし、なんしか滑りやすいのは、なんとかして欲しいところ。

■まとめ

長々と色々書いてみたが、気にいっていることは、間違いない。
この文章も、全文をiPadだけで書いてみたが、全然平気。

iPhoneに慣れていただけに、急激な革新は感じにくいが、実際には、大きな画面をタッチパネルで自由に操作するという体験は、iPadで初めて実用的になった。
iPadは、静かに進行する革命なのかもしれない。