M1 iPad Pro 12.9のファーストインプレッション

楽しみにしていた、第5世代M1搭載iPad Pro 12.9が来て、数日が経過した。

まだまだ本格的に使えているわけではないが、一旦、最初の感想をまとめておこうと思う。

まず、今回、第3世代のiPad Pro11インチに入れ替えて、12.9インチを買った大きな理由は、画面の大きさ。

自宅時間が長くなったことで、持ち運びの必要性が減ったので、多少、重くても大きい方がいい、ということで12.9にした。

もともとiPad Proは、最初の12.9を買っていたので、戻したことになるが、やはり、大きなディスプレイは、改めてよかった。

1つは、やはり映像コンテンツの迫力が増す、ということと、2つ目は、作業領域が広くなる、ということ。

単純に、映画、漫画など作品を大きな画面で楽しめる。
液晶の大きさ以外のM1 iPad Proの良い点は、液晶の鮮やかさにあるが、特に映画、HDRコンテンツは、大きさと鮮やかさの相乗効果が感じられる。

作業領域については、今もそうだが、左にブラウザ、右にメモを立ち上げて、スプリットビューで作業しているが、これが11インチに比べると窮屈感が少なく、作業が快適にできる。

iPad Proの特徴であるM1チップについては、今は、それほど真価を発揮できていない気もするが、Macアプリが載ってきたりしたら、この作業環境の広さについては、やはり大きな相乗効果になる。

ということで、狙いだった、画面の大きさについては満足しているし、初代のiPad Proの時に比べると、コンテンツが4K HDRになったり、OSもマルチタスク対応したり進化しているので、より大きな画面を活かせるようになっている、というのも実感した。

次に、XDR液晶。

ミニLEDで、高輝度と黒が黒い、という特徴だが、やはりHDRコンテンツを見たときに、この高輝度がすごい。
テレビでも、4Kモニタでも、達しない鮮やかな光を出せるわけで、純粋に素晴らしい。

黒が黒い、というのは、どこのYouTuberのレビューにも出ていたが、これは、鮮やかな方は、HDRコンテンツを見ない限りわからないが、黒の方は、どの状態でも体感できる、というのが影響しているように思う。
個人的には、黒が黒いのがそんなに価値あるかな、と思っていたところ。

iPad Proで映画を試しに見ていて、同じ映画の続きをふと、あまり気にせず、作業していたMacBook Pro16インチで見たら、映像の白っちゃけ感がすごく感じた。
それまでは、MacBook Proの液晶はキレイ、というイメージしかなかったので、そう感じられなくなってしまったのに、愕然。

iPad ProのXDRを見てしまうと、自分の中の基準が変わってしまう、という恐ろしさ。

HDRコンテンツの入手性は高くはないが、Apple TVのアプリとかで見る、ということになるのかな。4K UHDの映像ソフトを表示させる方法があればいいんだけど。
あと、テレビもHDR対応のものにしたくなってくる。

といったHDRコンテンツでないと、XDR液晶の恩恵は確かに受けにくいのではあるが、iPhone 12 Proでなくても、自分の手持ちのカメラで、HDR動画を撮ることができる、というのは一つの発見。

α7iiiだと、ピクチャープロファイルの10番が、HDR映像の設定になるようで、PP10で撮影されると、そのままのファイルをiPad Proに持ってきても、HDR動画と認識される。
もちろん認識されるだけでなく、ちゃんと明るさ、鮮やかさもHDRのそれになっている。
編集時にどう扱うか、までは、まだ追及できていないが、HDR撮影の機会は増えそう。
LumaFusionでは、HDRが扱えるので、iPad Proのなかで編集するなら、HDR映像をHDR映像のまま編集できそう。

ということで、コンテンツ消費の面でも、クリエティブの面でも、XDR液晶である、ということは、iPad Proの大きな価値になりそう。

自分的に3つ目の特徴は、M1チップ。
これについては、今のところ、なんでもサクサク動く以上の体感はできていない。
しかし、意識の面では、結構、有効に効いている。

というのは、M1チップが載っていることで、しかもそれが、他のM1 Macと同等のパフォーマンスである、ということがわかってきたことで、自分は、新しいiPadを買った、使っている、という認識ではなく、タブレット型のMacを使っている、という認識になってきている。

iPad Airが進化しすぎて、Proの存在価値が危うかったが、これはMacなのだ、と思うと、Proという意味が強くなる。
また、値段についても、大きさ、重さについても、13インチMacBook Airのタブレット版、2in1版だと考えると、まぁ、こんなものだよね、と思えてきてしまう。

M1 Macが出た時に、新しいチップのMacを試したくてしょうがなかったのをなんとか我慢してきたけど、M1 iPad Proを使い始めてから、というもの、全くその気がなくなってしまった。これは実質M1 Macなんだ、と。

もちろん、現状は、iPad OSというのはあるが、おそらくWWDCでM1 iPadで、Macアプリが使える何かしらが発表され、秋のアップデート以降は、それが実現されるであろうから、それを楽しみに待つだけ。

購入前の新型iPad Proへの期待は、画面の大きさ、XDR液晶、M1チップの3つだったが、もう1点、Magic Keyboardについても書いておきたい。

Magic Keyboard自体は、去年の今頃、突然発表されたが、その時は完全にスルーした。キーボード入力という観点だけでは、Smart Keyboadで十分だったし、重さも軽い。
Magic Keyboardは、トラックバッドが内蔵されているが、当時は、それほどの必要性は感じなかったし、異常なほど、価格が高い。

確かにいいものである、というレビューはいくつも見かけたが、Smart Keyboardを持っていた身としては、必要性も感じず、値段相応には思えなかった。

今も、値段については疑問を禁じ得ないが、実際に12.9インチで使ってみると、良い品である、というのは、しっかり感じてはいる。

画面サイズが、13インチになったので、それこそMacBook Airと同じような、キーの幅、レイアウト、キータッチで使えるし、トラックパッド対応もしっかりできている。

このMagic Keyboardがあることによって、前に書いた、M1 Mac感がものすごく後押しされる。
今までのiPadは、タブレット状で使うのが普通で、必要な時にだけ、キーボードをつけて使う、という感覚だったのが、M1 iPad Proだと、普段は、Magic Keyboardをつけていて、MacBook Air的に使っていて、必要な時に、液晶だけ取り外してタブレットとして、使う、という感覚。

いわゆるMS Surfaceと同じ感じ。
ただ、Surfaceは、タブレット時の使い勝手が、かなりぎこちなかったが、iPadは、当然、タブレット時の使い心地は最高。

Smart Keyboadとの差は、当たり前だけど、タイプ感とトラックパッド。
Smart Keyboadは、布製のキートップになっているからか、押した時の反応速度、感覚が、Magic Keyboardに対しては劣る。Magic Keyboardは、キーを押した後の反応、サクサク感がめちゃくちゃ良い。ひょっとしたら、MacBook Pro16インチよりもいいかもしれない。

あと、ちっちゃいトラックパッド。この位置にあることで、Macと同様の感覚で使えるので、慣れている直感的な操作ができる。スクロール、スワイプ、ピンチ、タップなど。

このトラックパッドの使い勝手が、MacBookとあまり変わらないので、またiPad ProがM1 Macのように感じられる。

正直、ブラウザとか、メモとか、あとあまりプライベートでは使わないけど、PagesとかKeynoteとかは、Macで全画面表示で使うのとの、ほとんど遜色はないんじゃないかと思う。

なので、自分の中で、iPad Pro+Magic Keyboardと、MacBookの差は、ブログアプリのRapidWeaver、Logic、Finalcutが使えるかぐらいかな。
あと、なんか知らんけど、iPad OSの写真アプリの編集機能は、Macに比べて貧弱すぎる、というもあるか。

と色々書いたが、Magic Keyboardは、これがあることによって、Mac感が非常に強くなるので、将来的に、Mac的にiPad Proを使いたいならば、持っておいた方がいい、とは思う。
ただ、値段だけは、あまり納得のいく金額ではない。

あ、それと、角度の調整ができるのだけど、その調整幅が狭すぎる、というのは結構不満。
多分、バランス的に、これ以上、角度をつけると、後ろに倒れたちゃうんだろうな。

あと、触れていないことで言えば、Thunderbolt 3ポート、か。

前の記事にも書いたが、ウェブカム以外のMacのThunderboltドックに繋がっている機器が全て、同じように使える。これはすごい。

イーサネット、ハードディスク、4K HDRディスプレイ、オーディオインターフェース。これらがそのまま全部、スルッと使えるので、これまたMac感が強くなるんだよな。

というわけで、12.9インチの第5世代iPad Proの数日の感想、ということになるが、iPadを買い替えたようで、新しいMacも買った感になっている。
満足度は、引き続きかなり高い。



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