Vision Pro老眼とオプティカルインサート
2024/08/11 14:22 カテゴリ:Vision Pro
自分はいわゆる老眼なのですが、Vision Proのオプティカルインサートで、少し紆余曲折があったので、紹介します。
まず最初に結論ですが、自分は、1.8m前後ぐらいにピントがあうメガネの値で、オプティカルインサートを作成するのが正解だった、という話しです。
◾️ピントが合っていない?
自分は、子供の頃から近視で、ずっとメガネをかけています。
Vision Proは、メガネをかけたままでは使えないので、メガネをかけている人は、コンタクトにするか、オプティカルインサートという、専用のレンズを注文する必要があります。
Vision Proの注文時に、自分のかけているメガネの度数を入力すると、合わせたオプティカルインサートを作成してくれます。
ひとつのメガネしか使っていない人であれば、どのメガネの度数を入力するかで迷う必要はないのですが、老眼の場合はちょっと困ります。
自分は医者ではないので、正確な情報ではないと思いますが、自分の理解している老眼、というのは、ピントの合わせ幅が、若い時よりも減ってしまう症状だと思っています。
自分の裸眼の場合を雑に測ってみたら、13cmから18cmの幅にしかピントが合いませんでした。それ以上、近くても、遠くてもピントが合わないんですね。
若い時はピントの調整幅が広いので、一つのメガネで、いろいろな距離にピントが合わせられますが、老眼になると、距離別にメガネを使い分けないと、ピントを合わせることができません。
最初、Vision Proを注文した時には、自分はVision Proでピントがあう距離を意識していなかったので、PC作業用に使用している80cmの位置にピントが合うメガネの値でオプティカルインサートを注文していました。
Vision Proのオプティカルインサートは、日本での発売時に左右の度数が間違って届いたりする問題があったので、しっかり使えるようになるのに少し時間がかかったのですが、新しいレンズがきてからも、なんかちょっとピントが合っていないかも、と思い始めました。
Vision Proの標準の使い方ですと、ライトシールドが目とオプティカルインサートの距離を決めていて、距離を変えることはできません。
ですが、サードパーティのストラップを使って、ライトシールドを外す運用をしている場合、バンドの締め具合によって、ヘッドセットの位置を少し近づけたり、遠ざけたり、微調整ができます。
これを使って、標準的な位置よりもレンズを目に近づけた場合に、Vision Proの映像がよりピントがあった状態になったわけです。
この状態で使い続けられれば良かったのですが、レンズを目に近づけすぎると危険とOSから警告がでますし、ライトシールドを使った時にはピントが少しズレているわけです。
Vision Proは数年使うつもりですので、ピントがぴったり合った状態で使いたいわけで、そうなるとオプティカルインサートを注文しなおす必要がありそうです。
◾️Vision Proの仕様がわからない
問題は、どの距離にピントを合わせて作り直すかです。
ヘッドセットデバイスは、至近距離にあるディスプレイパネルを直接目でみているわけではなく、レンズを使って、実際の距離よりも遠くにあるように見せています。
ちょっと勘違いするかもしれない点ですが、Vision Proは、空間コンピュータですので、覗くと見られる映像は、奥行きが表現されますし、フォービエイテッドレンダリングという技術もあって、視線の向きで、ピントがあう場所、ぼけて表現される場所が変わったりもします。
映像の見た目は、ピントやボケ、左右の視差がコントロールされて、奥行きが仮想的に表現されていますが、実際は一定の距離にあるディスプレイに表示されています。
老眼と関係あるピントの話は、画面上に表現されているものではなく、物理的な画面にピントが合うかどうか、になります。
物理的なディスプレイにピントが合わないと、そこに映し出される全てのものはピンボケになってしまいます。逆にピントが合っていれば、その上で、くっきり見せるもの、ボケてみせるもの効果が、役目を果たせるわけです。
Vision Proの設計仕様が、どのぐらいの位置にディスプレイがあるように想定されているのかがわかれば、そこにピントが合うメガネの度数を入力すればいいはずです。
調べてみてもAppleのサイトには情報がないようなので、Appleに直接電話、Apple Storeで試す、Zwissに問い合わせると3通りの方法で、調べようとしてみました。
ですが、Appleサポートには情報がない、Apple Storeでは、プライバシーの配慮で客の度数情報には一切アクセスできない、ということでした。Zwissからは、返事はなかったです。
というわけで、Appleの公式の情報として、想定しているディスプレイの距離を調べることはできませんでした。
一般的にヘッドマウントディスプレイは、1-2m程度の距離に設定されているらしいですが、Vision Proの場合はどうなんでしょうか。
◾️どのメガネの度数を使うのか?
よく老眼の人が、近くが見えない、文字が小さいと見えない、みたいなことを言っているのを見かけると思います。
近くが遠くが、とか、文字が大きい小さい、というより、自分の見たい距離に対して、ピントの調整幅が狭くなっているので、裸眼もしくは、メガネではピントが合わせられていない、だから見えない、ということだと思います。
適切にピントが合わせられるメガネなどを使えば、近くても遠くても、文字が大きくても小さくても、見えるはずです。
老眼は、ピントを合わせる幅が狭いため、いろいろな距離に、メガネなどで矯正してピントを合わせる必要があり、自分のように近眼の場合は、裸眼で使える距離がないため、複数の度数のメガネを併用する必要があります。
自分の場合は、距離別に4種類のメガネを持っています。
- 40cm
- 80cm
- 1.8m
- 自動車運転用
普段は、40cmのいわゆる手元用を使っていて、必要に応じて距離別のメガネに掛け替える感じです。
メガネを付け替えるのは面倒といえば面倒ですが、ピントが合わない状態は、もっと面倒ですし、目が疲れますし、頭も痛くなったりしますので、背に腹は変えられないというところです。
前置きが長くなってしまいましたが、4つのメガネのうちの今は、80cm用のメガネと合わせてオプティカルインサートを作成していますが、残りの3つのうちのどれかに合わせればいいのか、あるいは、全然別の度数が必要なのか、というのを知りたいところです。
前に述べた、オプティカルインサートを目に近づけるとピントがあう、というところですが、逆にメガネを遠ざけると、より近くのものにピントを合わせられるようになります。
よく、昔のドラマなどで、おじいちゃんが新聞を読むときにメガネを前にずらす場面がありますが、あれです。
今回の場合、近づけるとピントが合うようになる、ということは、新聞の場合の逆になるわけです。新聞の場合は、近くを見るためにメガネを遠ざけるので、その逆、より遠いところをみるレンズが必要、つまり度の強いレンズが必要そうです。
次に、自転車に乗るときにはコンタクトを使っているのですが、コンタクトでオプティカルインサートをつけずにVision Proを使うと、かなりぴったりでした。
自転車用のコンタクトは、遠い距離を見るようにセットしてもらっているので、度がより強いレンズが必要、というところにはマッチしています。
最後に、かなり強引な技ですが、オプティカルインサートを外して、1.8m用のメガネをかけてVision Proを覗いてみました。
この状態では、アイトラッキングなどがまともに操作できないのですが、映っているものへのピントの合い具合は良かったです。
正解がわからないので、もう一度、作ってみるしかない、ということで、
- より度の強い方
- 1.8mのメガネだとよさそう
ということで、1.8mの位置にピントがあうメガネの値を使って、オプティカルインサートを再び注文してみました。
◾️結果
結果ですが、1.8mのメガネに合わせた新しいオプティカルインサートは、かなりぴったりピントがあっていて、アラートも出なくなりました。
この結果から、Vision Proの想定されたディスプレイの距離は、1.8m前後ではないかな、と推測できます。
もしこれから、VisionProのオプティカルインサートをつくる老眼の方がいる場合は、手元用やPC作業用のメガネには合わせない方がよいのではないでしょうか。
◾️老眼とVision Pro
今までの話は、老眼の場合にVision Proをどうやって使えるようにするか、という話でしたが、最後に、老眼でVision Proを使うメリットについて、触れておきます。
老眼で面倒なのは、距離の違うものを見比べたい時に、メガネを掛け替えるか、記憶するか、ピントが合わない状態で読み取ろうとしないといけません。
実際の生活だと、テレビを見ながらスマホをいじるだったり、テレビでゲームをしながら、手元のiPhoneやiPadで攻略情報をみる、というときによく発生しますね。
Vision Proは、目に見えているのは距離の違うものであっても、実際には、一つのディスプレイ内に表示されているので、距離によるピントの違いはなくなります。
Vision Proをかけていれば、遠くのテレビの字幕も、手元のスマホも、メガネを掛け替えることなくピントがあいます。
あいにく、現実世界のカメラ映像は、まだそれほど解像度が高くないので、現実世界のものは、メガネの方が綺麗に見えますが、将来的に解像度が上がれば、Vision Proのようなデバイスで、老眼を克服したことになるのかもしれません。